「狩人」

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「社長!!遅いっすよ!」 弥彦が呟く。 「すまないすまない。ま、とりあえずここから逃げるぞ!乗れ」 智也が呟くと5人は急いで車に乗る。 そして、最後に秀悟が乗り終えると地面に倒れていたXが立ち上がる。 さらには、玄関からタケミカツチが姿を現す。 「おい!それ僕の車だぞ!」 ダッシュしながら向かってくる。 「社長!急いで!」 春菜が急かす。 「よし…まだ、使えるな。俺に策がある」 智也は門の上を見上げ、にやりとすると、車を少し外へ後退させる。 「ぬおおおおお!逃がすかってーの!」 タケミカツチが門に向かってきている。 「秀悟君、門の上に見える水風船みたいなのを撃ってくれるか?」 「分かりました」 狙いを定め、水風船に向けて銃弾を放つ。 銃弾は水風船に直撃する。 次の瞬間。 「ドーン!!」 轟音をたてて、爆発を起こし門が崩れる。 確認はできなかったが、おそらく二人は爆破に巻き込まれただろう。 「…何が起きたんですか社長」 弥彦が尋ねる。 「なに、門の上にガソリンを入れた水風船をセッティングしてたのさ。連鎖爆破で殺傷と進路を防ぐべくね。ホントはゾンビの襲撃に備えて作成したのだが、まさかこんな形で使うことになるとはね」 笑いながら智也が呟く。 「な、なるほど…何をしていたと思ったら…こんなギミックを…ぐっ」 お腹を押さえる黎子。 止血はしているがそれでも血が止まる気配はなさそうだった。 「…社長…黎子が…病院へ向かってくれますか?」 春菜が呟く。 「…機能してるとは思えないが、分かった!ハイスピードで行くからつかまってろよ!」 そして、ジープは急発進し、病院へ向けて走り出した。 そして、走り出した直後、瓦礫の山となった門から人が出てくる。 「…ふう、Xよ助かった」 瓦礫をどかし、何事もなかったかのように立ち上がるタケミカツチとX。 「しかし参ったな…試作品のカクエンも殆ど殺されたし、車も盗まれたし…さんざんだなまったく」 白衣をほろいながら呟く。 「ま、いいか。奴らはしばらく泳がせてやろう。さ、研究所へ戻るぞX」 タケミカツチが呟くと、Xは無言で後ろをついてくる。
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