「白壁」

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「よし...着いた。こんな状況だ。医者がいるとは思えないが...賭けてみよう」 智也がジープを病院の真正面に停める。 病院の正面にはゾンビが所々に徘徊し、車が柱にぶつかっていたり、アスファルトには乾ききった血が付着していた。 「んんっ?...ここはどこぉ?」 少し寝ぼけているが美歌が目を覚ます。 「美歌さん...ここは病院前ですよ。黎子さんが怪我をしちゃったので」 秀悟が説明する。 「えぇ!?だ、大丈夫なんですか!?」 慌てて黎子を見る美歌。 「大丈夫ですよ...くっ...」 腹部を抑える黎子。 「黎子さん着きましたよ...降りましょう」 肩を支える華江。 「あぁ...手間をかける」 黎子が申し訳なさそうに呟く。 「弥彦。黎子の周辺を護衛しよう。さっきのサルの怪物が現れるかも知れないし」 秀悟は弥彦に呟く。 「あぁ、もちろんだ。というか言われるまでもないけどな」 弥彦がサーベルを抜刀する。 車に向かって病院周辺のゾンビが一斉にこちらに向かってくる。 もちろん、目は赤くなっている状態で。 「黎子、華江、早く病院内へ。あと、社長。2人をお願いします。病院内にもゾンビがいるかもしれないので...」 秀悟が2人に呟く。 「ふ、ふぁい!!がんばります!」 完全に目が覚め、小さくガッツポーズをする美歌。 「あぁ、任せろ。さ、こっちだ」 智也が3人を誘導する。 そして、無事に病院内へ入る。 「行ったか...足を引っ張るなよ...」 そう言うと、ジープから右手にメリケン、左手にショットガンを持った光輝が降りてくる。
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