「惨劇」

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午後6時45分 バスが通過してから15分後のこと。 「よし、これで全て設置完了!ったく、ここは道路が多くて苦労するよ」 無線で顔面の左側にタトゥーを入れた男が愚痴る。 「これで最後だ。我々の目的が果たせる時も近い。ボスの指示で上空にはパルスグレネードを散布済みだ。通信妨害が目的だが、我々は対策をしているからこうやって話せるがな。そして、これから陸路を完全に断つ。まさか自衛隊が1師団山間演習に来ているのは誤算だったが、これで自衛隊の増援や警察が応援に来てもすぐには対応できまい」 「さすがは、アマテラスさん」 ふと、外に目をやると国道に数台の車がこちらに向かってくるのが見えた。 「車が数台来ますよ?」 「ここから脱出されては迷惑だ。構わん。奴等が来る前にやるんだ…頼んだぞ。アマツカミ」 アマテラスと名乗る女は通信を切る。 「…これから我々の時代ってことだな」 何かのスイッチを押し、研究員らしき男はジープに乗り込み垣根町とは逆方向へと走り去った。 そして、数分後、垣根町へ通じる全ての道路が爆弾の爆発によって崩壊し、町は完全に孤立した。 なお、町を脱出しようとした車数台が巻き添えを食らったのはいうまでもない。
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