「白壁」

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2階 研究室 「…このウィルスの仕組みが分からない。よく、人を襲うのは食欲が云々って言うが、これは…別の理由があるはずだ」 ゾンビから抽出した肉片を顕微鏡で覗きこむ。 顕微鏡には、肉片に微生物らしきものがウヨウヨと動いていた。 「こいつは1体何者なんだ…未知のウィルス。しかし、こんな例は見たことがない」 頭を抱える巧。 かつて、研修医として大学病院で莫大な資料と格闘した日々。教授にあれこれ言われ、寝る間を惜しんで研究や実践を繰り返す日々。 研修も終わり、医師となるも就職した大学病院での上司の権力争い。それに疲れ果てて、やってきたこの町の病院。 患者もスタッフも温かかった。ようやくやりがいのある仕事を見つけられた。 たが、それもこいつのせいで全て無くなってしまった。 「必ず、正体を突き止めてやる」 過去を思い返したり、この未知のウィルスに対抗する巧であった。
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