「白壁」

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午前3時 2階 特別室 「ここだ」 秀悟と春菜が光輝を部屋へ招く。 「なるほど…」 司馬が室内を見渡す。 ベッドには黎子がすやすやと横になって眠っており、近くのイスでは黎子に覆い被さるように華江が寝息をたてていた。 さらには床で弥彦が、ソファでは美歌が横になり熟睡していた。 「おや、司馬君かな」 唯一、起きて工具の調整をしていた智也が呟く。 「手みやげだ。とりあえず机の上に置いていく」 ボストンバッグを開けて次々と手に入れたものを置いていく。 メス、薬品類、ガスバーナーなどが机の上に置かれる。 「おお…こんなに…」 驚きを隠せない智也。 「俺らがぼーっとしてるときにこんなことを…」 秀悟が呟く。 「俺はこういう仕事の方が気が楽でいい。それと、お前らはそろそろ寝ろ…」 そう言うと光輝は部屋を出ようとする。 「司馬…お前はどうすんだよ?」 秀悟が呟く。 「…見張りしといてやる。だから安心して休め」 そう言うと特別室を出て行く。 「そこまでいうなら、そうしようかな。秀悟はどうするの?」 春菜が秀悟に尋ねる。 「そうさせてもらうかな…彼にあれこれ言ったどころで殴られそうだしね」 秀悟が笑いながら呟く。 「俺も…そろそろ寝るか…さすがに眠いぜ」 そう言うと智也はソファに座りながら目をつぶる。
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