「白壁」

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「で、なんだよ話ってのは...」 寝起きを起こされ、やや不機嫌の弥彦が呟く。 「...何か見つけたのか」 壁によしかかる光輝。 「むにゃにゃ...」 眠そうにする美歌。 「たたき起してしまってすまない、ただ、このウィルスの正体をつかめたかもしれないのだ」 そう言うとポケットから1枚の新聞紙の切り出しを取り出す。 「それって、新聞記事?」 春菜が巧に尋ねる。 「あぁ...ヒントになるかも知れないと思ってな」 そう言うと、巧はその新聞記事を読み始める。 その内容とは。 「今から1年前。国立のウィルス研究所より政府がレベル4指定している未知のウィルスが謎の集団により盗まれる。警察が捜査を進めるも集団の正体、及び行方が分からず捜査が難航。新興テロリストの可能性を模索し、警戒を呼び掛けている」 というものであった。 「そういえば、そんな事件があったな...」 黎子が呟く。 「まさか...そのときのウィルスが...」 華江が呟く。 「だけど、ニュースの記事には集団ってあった。俺らが敵にしているのはあの白衣の男だけだ...」 智也が呟く。 「確かに...いや、待ってよ...なら奴がその組織の一員で、他にもメンバーがいるとか」 秀悟が推論を述べる。 「...ありうるぞ。その研究所の警備は厳重。それを突破するほどの組織。タダものじゃないはず。あの怪物みたいなあいつでさえ1人では無理としても、あのような奴がたくさんいれば不可能ではない」 光輝がぼそりと呟く。 「そこのモルモットの言うとおりさ」 「!!」 一同が窓の方を振り向くと、そこにはタケミカツチが飄々とし、立っていた。
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