「白壁」

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「なに...」 歯ぎしりを立てるタケミカツチ。 「俺らには、今がある。今も、これからも...それを訳のわからないウィルスが支配する世界なんかに変えられてたまるかっての」 秀悟が呟く。 「そうよ。意味分かんないし...」 春菜が呟く。 「下衆めが...だいたい、こそこそとこんなことをして...姿を現したらどうだ」 黎子が挑発する。 「いやぁ、そうしたいんだけどね。僕もいろいろと研究が忙しくてね。モルモットも何人か手に入ったし、君らはせいぜい絶望にまみれたこの町で足掻くといいさ」 タケミカツチが呟く。 「大した理論だね。失礼だが、君はどこにいるか教えてくれないかい?」 巧が呟く。 「...屋上へ来るがいい。そしたら教えてやろう。では、待っている」 そう言うと、ホログラフィーが消える。 「消え...た?」 華江が呟く。 「あ!あれ!!」 美歌が呟き、窓の方を指をさす。 そこにはプロジェクターが付いている小型ヘリが飛んでいた。 「あれでホログラフィーを映していたのか」 智也が呟く。 「...行こう。あいつの好きにさせない」 秀悟が屋上に行こうとする。 「ちょっと待ってよ!」 春菜がとどめる。 秀悟が歩を止める。 「罠だって可能性があるかもしれない...私も行く」 「春菜...」 秀悟がクスりと笑うと、春菜の背後から誰かがやってくる。 「抜け駆けはさせないよ。僕も行こう」 ライフルを持った巧が呟く。 「もちろん、俺も行かせてもらうぜ」 サーベルを装備した弥彦が呟く。 「おもしろそうだ。付き合おう」 光輝が壁から離れる。 「みんな...」 「すまないが、頼んだ。秀悟」 黎子がほほ笑みながら呟く。 「俺と、美歌、華江のことは任せろ。だから、行って来い」 智也が親指を立てる。 「...はい!!」 「屋上はこっちだ。ついてきて」 巧が先導し、5人は屋上へ向かった。
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