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垣垣病院 屋上
「ガチャリ」
屋上の扉が開く。3階建てのため、さほど高いところではないが風がピューピューと吹いていた。
「さてと、屋上だ」
巧が呟く。
屋上には貯水タンクと使えなくなった備品の物置。西側には森が風に吹かれザワザワと音をたてていた。
「で、あの野郎が教えるヒントって?」
弥彦が歩み出す。
しかし、屋上には何もなかった。
すると、屋上の空に先程の小型ヘリが秀悟らの上を飛行し始めた。
「あれは、さっきの!」
秀悟がヘリに反応する。
すると、ヘリに搭載されているプロジェクターが再びタケミカツチのホログラフィーを写し出す。
そして、再びタケミカツチが口を開く。
「よく来てくれた。君らの勇気を称えるとしよう」
「で、どこなんだよ、てめぇがいるところはよ!!」
強気に尋ねる弥彦。
「簡単だよ。君らのいるところから見える森。その中にある炭鉱まで来てみるといいさ」
「そういえば!」
秀悟はスーパーでゾンビになった矢崎を思い出す。
彼はゾンビになる間際に言っていた「森にある研究施設から逃げてきた」と。
「ま、僕がわざわざ教えたのはね、世紀の実践実験をしたいからさ。ゾンビとアヌビスに選ばれた新人類を、君らみたいな旧式の人間が、新人類の王たる僕らを打ち倒せるかどうかね」
「あんた…人の命を何だと思って」
春菜の顔には怒りが満ちている。
「命?簡単さ。そのうち消えてゆくものさ。人類の宿命であり、平等でないものなのさ…目的のために消さなければならない命だってある。そう…僕がアヌビスで王になるっていう目的のための犠牲に過ぎないのさ…ハハハ…フハハハハハハ!!」
狂ったように高笑いをするタケミカツチ。
「…狂ってるな…何が新人類だ…何が王だよ。そんなもの、俺らが壊してやる!!お前を追い詰めて、必ず日の当たるところで裁きを与えてやる!!」
秀悟が一喝する。
「ふふん…では、宣戦布告として受け取ろう。森の中にある廃坑で待ってるとしよう…では、僕からの餞別を受け取ってくれ。タンクの上を見るがいい…」
そう言い終わると、ヘリが空中で爆発する。
「うわっ!」
突然の爆発で怯む秀悟ら。
すぐに立ち上がり、言われた通り給水タンクを見上げると1つの人影があった。
「…」
目を凝らしよく見ると、拘束具に両手を拘束された薄気味悪い生物が立っていた。
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