「試練」

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「なに?あいつ!?てか、また怪物なわけ!?」 春菜はその見た目に驚きを隠せない。 両手を拘束され胴の部分も何かビニールらしきもので覆われており、顔は醜く、まるで潰れたパンのような顔をしており、目には目隠しがしてあった。 「そういう趣味があるとは大した化物だぜ」 弥彦が軽口を叩くと、反応するかのように怪物がピクリと動いた。すると… 「ギョォォォァァァァァァォァァァァ!!」 「ぐぁぁ!!なんだよ!これは!!」 秀悟らは、けたましい咆哮で耳を塞ぐ。 不協和音とかそんなレベルの咆哮じゃない。まるで、地獄で苦しむ罪人のような声だ。 「くそ…あの白衣野郎…大した餞別を…」 咆哮を耐えながら、光輝がショットガンを構え、怪物を狙う。 「ズドーン!!」 「ギョォォン…」 怪物に命中したのか、怪物は貯水タンクから屋上に力なく落ちてくる。 「ドスッ…」 落下した怪物はピクピクしている。 「や、やったのか?」 秀悟が近づく。 「…いや、まだのようだ」 光輝が追い討ちをかけるようにショットガンを放つ。 しかし、怪物は怯むどころかムクっと起き上がってきた。 「くっそ!」 光輝があわてて後ろに下がる。 次の瞬間、怪物は先程光輝がいたところへ空から降ってきた。 「…!!」 危機一髪かわすが、屋上のコンクリート床にヒビが入って、へこんでいた。 「なんて、ジャンプ力だよ…だったら、ジャンプさせなければいいさ!」 弥彦がサーベルを抜き、怪物に斬りかかる。
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