「試練」

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「先生!」 「あの怪物は息絶えたみたいだね」 巧が呟く。 「少し手強かったですけども...」 秀悟が照れくさそうに呟く。 「彼なら心配いらない。気を失っているだけだからね」 巧の横には気を失っている弥彦が横になっていた。 「...よかった」 春菜が安堵の表情を見せる。 「まったく、考えずに突っ込むから」 少し笑う秀悟。 そんな時、後ろで先ほど倒したはずの怪物がゆっくりと呼吸をしているようだった。 だが、だれも気がつくことはなかった。 「そういえば、さっきから下が騒がしいのだが...」 光輝がフェンスから下の方を見る。下は秀悟らが入ってきた駐車場だ。 ところが、うごめく影がいくらか見えた。 「...そんなバカな」 光輝の視線が捉えたのは、最初に倒したはずのゾンビが蘇生し、何事もなかったかのように徘徊していた。 「おい。赤城...早いとこ委員長達と合流した方がいいかもしれない」 「どうした突然?」 不思議そうにする秀悟。 「俺らが倒したゾンビ共が蘇生してやがる...見てみろ」 フェンスの下を覗くように促す光輝。 そして、言われるままにフェンスの下を覗く。 「そんな、確かに全滅させたはずなのに...」 「だったら急いで、戻って守りを..きゃっ!」 春菜が背後から肩に打撃を受ける。 「春菜!!」 光輝と秀悟が振り向くと同時に金属製の拘束具が目の前に入った。 そして、秀悟の身体が宙に浮いた。
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