「試練」

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2階 特別室 「よっ、ゾンビ共は片づけたぞ」 特別室に戻ってくる智也。 「お疲れ様...」 美歌が出迎える。 「あぁ、無事でよかった...」 ベッドに腰をかけ刀を磨く黎子。 「だけど、秀悟君と春菜さんが...」 智也の背中に背負われている秀悟。そして、少し遅れて入ってきた弥彦に背負われている春菜。 「秀悟!?それに、春菜!?」 慌てる黎子。 「大丈夫ですよ。二人とも気を失ってるだけですから」 安心しろ。という顔で黎子を見る巧。 「そうなのか...」 「屋上での経緯を話そう。それにいい情報を掴んだしな。その前に二人を...」 巧が言い終わる前に、弥彦は春菜をベッドへ、智也は秀悟をソファに横にする。 「さてとだ...屋上であったことを話そうとするか」 巧がネクタイを少しゆるめる。 「そういえば司馬君がいないようだが...」 黎子が呟く。 「なんかゾンビが入ってきてないか様子を見に行くとかなんとか」 智也が呟く。 「へっ、いつものことじゃないか」 弥彦が呟く。 「ま、彼なら問題ないとは思うが...じゃ、改めて話す。よく聞いてくれ」 そして巧は一連の出来事を話した。 屋上の怪物のこと。敵の研究施設が町内の閉鎖された炭鉱の奥にあること。 「なるほど。そんなことがあったとは...私が行っていれば」 悔やむ黎子。 「いや、仕方がないさ。今後のことを考えて無茶はさせたくなかったからね。それに、気を失うだけで済んだ分、まだよかった。下手したら...」 巧がフォローする。 「そうですよ...この町で生き残ってるのはもう...私たちだけなのかも知れないんだから」 美歌が呟く。 「そうだよな...」 弥彦が呟く。 「ま、落ち込むよりも、今はこの先をどうするか考えよう」 智也が呟く。
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