107人が本棚に入れています
本棚に追加
2階 研究室
「!!...どういうことだ...」
顕微鏡を覗きながら巧が呟く。
彼が覗いていたのは先ほど屋上で対峙した怪物の肉片。
顕微鏡の中には黒い糸状の生物が僅かながら生きていた。
「こいつは太陽光。つまり、紫外線を浴びたら死んだ。だが、刀で急所を突いたくらいでは死ななかった...もしや」
そう言うと、生きている部分をメスで突いた。
すると、確かに生物は分離した。だが、死んではいなかった。
分離したところから新たな生物が枝状に現れ、何事もなかったかのように結合したのだ。
「自己再生...そんな技術をどうやって...」
現代医療でも簡単に扱えない自己再生技術を持った生物。
「そして、声帯...ここから放たれた咆哮で死んだはずのゾンビが蘇生した。もしかしたら、死滅した細胞を活性化させるものなのか...だが、原理が分からない」
聞いたことも見たこともない事象に考え込む巧。すると、研究室の扉が慌ただしく開く。
「先生!!司馬の奴が!!」
振り向くと、気を失っている光輝を支えている美歌と弥彦がいた。
「どうしたんだ?」
冷静に対応する巧。
「こいつ、無茶して力尽きちまったんですよ...大丈夫だと思うけど一応な」
弥彦が状況を説明していく。
「なるほど。彼はもしかしたら全てを読んでいて...とりあえず、隣の休憩室へ運ぼう」
巧は光輝が自分が仮定した事象を屋上で全て悟っている。そう確信した。
最初のコメントを投稿しよう!