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午後7時
2階の端にあるロビー
「うひゃぁ...可愛いなぁ」
顔を赤くした美歌が弥彦に寄りかかる。
「き、今日だけっすよ...」
とか言いながら満更でもないような表情をする弥彦。
「てか、お酒も持ってきてたとはね」
智也が半ば呆れたように呟く。
「うっせーよー!!勝ち組はさ、大切な人がいるけどさ、私なんてさ...」
美歌は自分の過去をべらべらと話す。
垣根町に生まれ、両親と平凡に暮らす。そして、スーパームカイでレジ係として働く。同期は皆都会へ出た。けど、私は出なかった。この町が自然が多い町が好きだったし、都会は怖い。ここが自分にとって安息の地であったと。だが、彼女には1つ問題があった。そう、結婚であった。両親は結婚を願っていた。そろそろ身を固める時期ではあったが、垣根町には自分にふさわしい男はいなかった。
何度が婚活や街コンというものに参加してみた。だけど、男性とは殆ど話したことがなかった彼女は上手くいかなかった。そうしている内に、両親は先立った。
30になった自分なんて誰が拾ってくれるのか。そう考えてると周りはゾンビだらけ、そして暴漢に襲われそうになると散々な目に遭って来たと。
「じ、じゃあ酔ってるから聴きますけど美歌さんって...処女なんすか?」
弥彦がニヤニヤしながら尋ねる。
「あー、そうよ!!処女ですがなにか!?」
ドヤ顔で呟く美歌。
「あ、いや...単純な好奇心で聴いただけです」
なぜか顔を真っ赤にする弥彦であった。
すると、巧がやってくる。
「おいおい、院内はお酒禁止だよ」
巧が呟く。
「あ、すみません。明日、死ぬかもしれないんでつい...」
美歌をフォーローするように智也が呟く。
するとハハハと笑う巧。
「なんてね。普段は禁止だよ。けど、今は構わないよ。それに実は僕もお酒大好きだからさ。僕も輪の中に入れてもらってもいいかな?」
巧の申し出に3人は首を縦に振った。
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