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黎子は屋上で素振りをしていた。
「はっ!!やっ!!とおっ!!」
懸命に薙刀を振るう。
怪我を負って休んでいた分、彼女はやらなければならない。と思っていた。
それは父の仇討ちでもあり自身のプライドのため。そして、大切な仲間のために。
すると、1人の女性がやってくる。
「あ、あの...黎子さん...」
誰だろう。彼女が振り向くと華江がいた。
「お、華江か。どうしたんだ?」
稽古を中断し、華江に近づく。
「私も黎子さんみたいに...もっと強くなりたいんです!!頭脳だけじゃなくてみんなの足を引っ張らないように!!」
華江は思い返す。
隙を付かれゾンビに噛まれたこと。そのゾンビは入れ歯をしていたからこそ華江は助かったが、これがもし普通に噛まれていたら...
今考えるとゾッとする。だから、自分の身くらいは自分で守りたい。そう願ったのだ。
「華江はよくやってくれているよ。私だって何度危機を救われたか。十分強い。だけど、もっと強くなりたいと願うなら...」
そう言うと華江が持っているマチェットを指差す。
「軍用のマチェットだな。少し改造すれば薙刀見たく戦えるかな...確か、備品の中に掃除ブラシとビニールテープがあったはずだから、すまないが下から持ってきてくれないかな?訓練はそれを作ってからかな」
「分かりました!」
元気よく返事をすると屋上の扉を開け下へ戻っていった。
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