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「俺の調査によれば奴はアヌビスを投与し適合している」
あのアヌビスを投与している。秀悟らは驚きを隠せなかった。
「並大抵の人間ではゾンビになるか、怪物に変貌してしまうか...その二択。だが、彼はおそらく微量を日に日に接種した結果、自我を保ったままアヌビスを体内へ取り込むことに成功したんだ。身体能力の向上はアヌビスの産物と言ってもいい。だが、そのアヌビスを鎮静する薬品があることが分かったのだ」
「なんだって!?」
思わず叫ぶ智也。
「...」
アヌビスを鎮静化する薬の存在。
しかし、調査にしては出来すぎている。
光輝は心の奥底で三和に不信感を抱いていた。
「まだ、試薬段階だが奴がそれ保管している可能性もある。それを探し出して奴に打てば奴は普通の人間に戻ると考えられる。だから、奴を探しつつその薬品も探す」
「確かに、それがあれば...分かりました」
納得する黎子。
「他には?」
3度目の質問。だが、今度は誰も手を挙げなかった。
それは、作戦の開始と共に生死を賭けた戦いが始まることを意味していた。
「ないのなら5月22日、午前7時48分。作戦を開始する!」
こうして、タケミカツチの捜索。及び、唯一の脱出手段である非常用無線の探索に乗り出したのであった。
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