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扉が開くちょっと前、入口に三和は立っていた。
「よし、これで調査を再開できる。彼らには気の毒だが、利用させてもらうよ。目的を果たすためには犠牲は必然だからな」
ハンドルの近くへ向かう。ハンドルには両手がぶら下がっていた。もちろん、手首より下は死体。というよりは骸だったが。
「逃げ遅れたか、誰かの犠牲になったか。どちらにせよ、犠牲か」
そう言うと両手をどかしハンドルを握り、ゆっくりとハンドルを回し始める。
そして、ゆっくりと扉が開き外から秀悟らが入ってくる。
「潜入できましたね…」
華江が三和に近づくと同時に傍らの骸にも気がつく。
「…あれって」
華江が気づくよりも秀悟と弥彦が近づく。
「おそらくは吉川の…矢崎を逃がすために」
骸しかない死体に向かって合掌する。
「…骸になるにしては時間が早すぎる。おそらくは何かに蝕まれた。それほどの敵がいるということだ。用心しなければ俺らもこうなる」
冷静な口調で三和が話す。
「さ、感傷に浸っていてはキリがない。先に進むぞ」
そう言うと入口の先にある通路を進む。
「…行こう、秀悟」
弥彦は秀悟の肩を叩く。
「そうだな、今は全ての真相を探ることに専念しよう」
そう言うと立ち上がり三和の後を追う。
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