「惨劇」

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「沖田君!?生きていたのですか…」 近くにいた外川が驚く。 「なんで!?確かに脈はなかったのに…」 「気を失ってただけだったのかな」 運転手がにこやかに笑う。 「グゥゥゥ…」 しかし、沖田の様子がおかしい。 うなり声をあげ、目が真っ赤になっていたからだ。 「沖田…君?」 沖田の様子を伺おうとした時、外川の首から血が噴き出る。 「え?」 突然のことに言葉が出ないまま外川は絶命した。 「キャァァァァァ!!」 女子生徒が叫ぶ。 「お、おいどうなって…」 車内は瞬く間にパニックになった。 窓から逃げる者、腰がすくんで動けないものが現れる。 住宅街へ逃げる者や校内へ逃げる者、バラバラになった。 「みんな!落ち着…仕方ない」 黎子はバスの窓から飛び降りると学校の方へ走り出した。 「お、沖田…?」 運転手が止めようとすると、入口から女性のゾンビが入ってくる。 「砂川先生まで!?」 考える間もなく、運転手は押し倒される。 「さ、砂川先生!やめて、や、やめてくだ…」 力なく運転手は首を噛まれ、絶命した。 「アハ…アヒャヒャヒャヒャ…」 井田は一瞬の出来事に腰を抜かし、動けずにいる。
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