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それでも、熊らしきものは倒れなかった。
それどころか、進の方を振り向くと全速力で突進してくる。
「大変だ」
進は咄嗟に来た道を引き返す。
しかし、今年で72歳になる進にとって慣れている山道を走ることは体力的に余裕のあるものではなかった。
「ハッ…ハッ」
しばらく走ると進は息を切らし、足はもつれていた。
そして、蔦に足をとられた。
「うお!」
前のめりに転んでしまう。
「こうなったら…」
熊らしきものはまだ進に向かって歩いてきている。
「やるしかない…」
進は散弾銃を取り、残弾数を数えた。
「ひーふーみ…五発か」
二発を散弾銃に込め、熊らしきものに狙いをつける。
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