「混沌」

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「行こう。委員長」 秀悟が呟く。 「…いいのか?」 「武器が増えれば安心だし、もしかしたら生き残りがいるかもしれない」 「けど、春菜はどうするんだよ!?」 弥彦が尋ねる。 「弥彦、お前に任せてもいいか?」 「けどよぉ…分かった。春菜は任せておけ」 否定しかけるが了承する。 「…委員長」 木刀を黎子に渡す。 「いいのか?」 「俺よりうまく使いこなせるだろうさ。それに、ここから出るのに素手なんかじゃ無謀だろうし」 「ありがとう…網川君。いや、弥彦」 「え?俺のことを名前で?」 「別に意味はない…行くか、秀悟」 木刀を構え保健室の扉を開ける。 「弥彦…」 「春菜は任せておけ」 「あぁ…」 秀悟も黎子に続き保健室を出る。 扉が閉まると弥彦は呟いた。 「生きてもどれよ…二人とも」
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