「混沌」

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ガサガサ… 「死体を漁るのは本来なら失礼だが、緊急時だしやむを得ないだろう」 黎子が冷静に呟く。 「そうだな…しかし、死体も何回も見たら見慣れるもんだ」 秀悟は皮肉めいて返す。 「あぁ…ん?これは…」 黎子が何か見つけたようである。 「どうした?」 「この人にも家族がいたんだな…」 黎子は血に染まりつつある写真を眺める。写真には死体の自衛隊員と思われる男性と妻らしき女性、そして二人の子どもが写っていた。 「…そうみたいだ。だからこそ俺らは生きてこのことを外の人間に知らせないと!」 「あぁ!必ず生き残ろうな!」 男らしくガッツポーズする黎子。 「しかし、武器になりそうなものは…ないか」 秀悟が諦めて、教壇の方を向くと… 「黎子!教壇の下に何かある」   「よし、教壇をどかそう!」  二人で教壇をどかすと。 「…ナイフだ」 そこには、通常の物より明らかに大きなナイフが鋭い輝きを放って転がっていた。
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