「混沌」

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「司馬君か…驚かせないでくれ」 黎子が木刀を下げる。 「委員長無事だったようだな…ん?その銃は?」 光輝が拳銃を指差す。 「え、えっと…私と一緒にいた自衛隊の人が持っていたんだけど、その人、いなくなっちゃって…血の跡を辿ったら、化学教室の前に落ちてたの」 華江が説明する。 「…なるほどな。つまり、こいつはSIG SAUERという拳銃だ。自衛隊や一部の警察官も使用しているものだ」 淡々と解説する光輝。 「なんでお前がそんなことを?」 「ふんっ、んなことはどうでもいい。それよりも、お前ら武器はどうする?」 光輝がぶっきらぼうに尋ねる。 「あぁ、これから取りに行くんだ。司馬君も一緒に行か…」 誘おうとする前に光輝が部屋を出ようとする。 「俺は群れない…ここに寄ったのも明かりがあったからだったが、お前らなら用はない」 「待てよ!司馬!!いくらお前でも素手で奴等を倒すには限界…」 引き留める秀悟だが胸ぐらを突然掴まれる。 「離せ…」 「…俺は俺のやりたいようにするし、死ぬつもりもない。それに、どういうわけか校内は奴等の数も少ない…分かったか?俺に2度と指図すんじゃねぇ…」 鬼のような形相で呟くと光輝は秀悟を離す。 「…グッ」 「…だが、生きろよ。ここら辺の雑魚は始末したが体育館側は奴等がまだ山ほどいたからな」 そう言い残すと光輝は生徒会室を出た。 「今の人…誰ですぅ?」 華江が黎子に尋ねる。 「番長だよ」 笑いながら答える黎子であった。
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