「混沌」

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午後9時00分 道場前 「これは…どうなってるんだ?」 道場の前はまるで、もぐらか何かが出たかのように穴だらけになっていた。 そして不思議なことにゾンビ達が何体か消えていた。 「さぁな…」 黎子もお手上げって感じで呟く。 「もしかして…自衛隊の人を殺した怪物が…」 華江が震える。 「…一理ある」 秀悟が少し考え、呟く。 「どうしてそう言える?」 黎子が秀悟に尋ねる。 「まず、華江が見たという敵。排気口に入れるとなるとゾンビは考えられない。それに、人間だとしても排気口の入口まで引っ張っていくには、相当な腕力がないと難しい。例えば司馬みたいな…次にこの穴ぼこ。これは、さっき来たときはなかった。だが、謎の地震が起きたあとにこうなった。」 秀悟が仮説をとなえる。 「だから、さっきの華江の言ってたことと何の関係が?」 「分からないだろうか?穴を掘り、狭い排気口にも潜入できそうな生き物と言ったら…」 正体を言おうとすると。 「おーい!!」 グラウンドの西の方から聞きなれた声がする。 「…弥彦…それに春菜!」 弥彦と春菜が駆け足でこちらに向かってくるのが分かった。しかし。 「ゴゴゴゴゴ」 再び地面が揺れ始める。 「くそっ!また地震だ!!」 黎子と華江が近くの柱にしがみつく。 次の瞬間…勢いよく地面が割れ、中から妙な生物が姿を現した。
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