「安息」

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「夜風はいいな…この町の風は特に…山々の香りが心を癒してくれる…」 ぼそぼそと一人で呟く秀悟。 すると、背後から女性の声がする。 「秀悟、どうしたの?こんなとこで」 キャミソールと短パン姿の春菜がいた。 「…夜風に当たってただけだよ。もう少ししたら寝るよ」 「ねぇ?1つ聞いてもいい?」 「どうした?」 「秀悟も…弥彦と一緒に…覗きしてたでしょ?」 顔を赤くしながら春菜が話す。 「!?…す、するわけないだろ!俺がそんなこ…」 あわててごまかす秀悟。 「嘘でしょ…あたし、少しだけど見えたもん。弥彦の後ろにいる秀悟が…」 「…」 黙って下をうつむく秀悟。 「やっぱり…」 「ごめん…その、気になっちゃって…その、春菜のことが…」 ぼそりと謝る秀悟。 「…知ってた。どうせ、弥彦に吹き込まれて気になったんだと思うけど…」 「…ホント、ごめん」 「いいよ…私は別に…」 「え?」 意外な答えに驚く秀悟。 「むしろ…私を幼馴染みじゃなくて…一人の女として見てくれたから…」 そう言うと春菜が秀悟の手を取り胸に手を当てる。 「…春菜!?」 内心とてもドキドキしていた。一人の女性の胸に手が当てられているという状況に。 「その…じかに触っても…いいよ?」 目をつぶり顔を真っ赤にしながら春菜が呟いた。
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