10人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日、妹が殺された。
第一発見者は母。
発狂した声に気付いて、110番通報した。
妹は首を絞められて殺されていた。
電気コードがそこに落ちている。
可哀想に。
電気コードを首にしっかり巻かれ、抵抗する間もなく殺されたのだろう。
相変わらず、母は私を睨み付けている。
なぜだろう?
私は悪いことなどしていないのに。
警察の人が私に、指紋を採りたいと言ってきた。
私はそれを拒否。
面倒だ。
妹は死んだ。
誰かに殺された。
それで何がある?
別段、それ以上でも以下でもない。
どうして、私が疑われるのか?
証拠が欲しい。
でも、警察の人は身内が犯人だと言っている。
何故なら、誰かが侵入した痕跡がないからだ。
ここに入れるなら幽霊くらいだろう。
じゃあ。
可哀想に。
妹は幽霊に絞め殺された。
電気コードで、首を絞められて。
母は私に人殺し、ロクデナシ!!と叫ぶ。
妹の死体を指差しながら私に向かって。
狂ったみたいに。
人殺し!!
ロクデナシ!!
何故、こんなに責められなければならないのか?
私は正しいことをしただけなのに。
妹の首に電気コードを巻き付けてそれを左右に引っ張っただけなのに。
苦しそうに暴れる妹を愛しく思いながら首を絞めていただけなのに。
母を独り占めにするあの子を懲らしめただけなのに。
私は悪いことなどしていないのに。
わたしはわたしのために
いもうとを
いもうとの
くびを
しめただけなのに。
どうして、手錠をかけられるの?
どうして、母が泣いて怒ってるの?
どうして、私は泣いてるの?
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、
わからないよ。
あぁ。
そうか。
違ったのか。
私は首を絞めてはいけなかったんだ。
方法が違ったんだ。
だから、みんな、怒ってるんだ。
私は警察の人の脇をすり抜けて、階下へ行く。
いつもの場所にあった
いつもの包丁
二階に戻り、青いシートを剥ぎ取った。
周りの人は私を止める。
押さえ付ける。
でも、私は、それを払い除ける。
邪魔するなら刺すよ!
そう叫ぶ。
みんな固まった。
最初のコメントを投稿しよう!