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そうムキになっても2人の妹に弄り倒される事をまだ理解していなかったスカーレットは食事中ずっと虐められていた。もっとも虐められている最中でもスカーレットの箸が止まる事はなかったが。
「もう良い!こんな家、出て行ってやるわ!」
「へー、じゃあみっちゃんの料理もう食べれなくなっちゃうな」
「うっ…」
「寂しくなるねー。まだ色々と教えてあげたい楽しい事があったのに」
「ううっ…!……さ、さっきのは冗談じゃ、冗談。吸血鬼ジョークというやつじゃ」
難なく籠絡される吸血鬼。決意が弱過ぎる。それにしても吸血鬼ジョークとは一体どんなだ。
それにしてもスカーレットは箸の扱いに慣れていない為、非常に汚い食べ方。
「じゃあ風呂入ったらみっちゃんの部屋でアニメ上映会だな」
「あにめ?何じゃそれは?」
「そうだねー、人が考えた脚本に絵をつけて映像化した、んー…分かりやすく言うと絵本が勝手に動く感じ?」
「なんと!?そんな摩訶不思議な事…まさか魔術で創られた絵巻では」
「「違う違う」」
賑やかすぎるリビングを後にし僕はさっさと入浴を済ませる事にした。まぁ入浴中にスカーレットが押し入り無理矢理血を吸っていったのは割愛しよう。
明日の準備というか課題をこなす中、隣の部屋から聞こえるワイワイ楽しげな声を羨んでいると携帯が震えた。
LINEのトーク画面には棺の名前と夜分遅くすみません、となんの絵文字も顔文字もない味気ないメッセージが連続で表示される。
魔術協会という文字が表示された時点で何やら面倒事に巻き込まれる事を僕は察した。
つい先日まで死んだように生きていた僕への当て付けのように目まぐるしく環境が変わっていく。
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