休息

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酷く頭が痛む。喉が異常に渇いているのに関係しているのかと授業の合間の空き時間に水を飲んだのだが一向に良くならない。 「銀、お昼一緒に食べませんか?」 昼休み。棺が僕の席に歩み寄って来た時に僕は死にたくなった。 なぜならば棺の事を美味しそうだと思ってしまったからだ。おそらくは長く血を吸っていない事が原因だろう。 棺だけではない、周囲にいる人間が全てそう見えているのだが特に棺に惹かれる。まるで自分が一番好きなご馳走を目の前に置かれたかのように五感が鋭敏になっているのだ。 「だ、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」 まさか喉が渇いてとは言えない。ましてや血を吸わせてなどとは。 大丈夫、となんとか取り繕ったが一体どうしようかと、頭を抱えた。 「大丈夫そうには見えませんけど?何か隠し事してますね。私に出来る事があれば……」 ガタンと椅子から立ち上がった棺が僕の肩を掴んだのがまずかった。嗅覚が棺から放たれている匂いを嗅ぎ取り自然と体が動いた。意志に反して。 「ん……っ!」 教室じゃなくて良かった。味覚は甘く美味しいと感じ取り、駄目だと頭では分かっているのに僕は吸血行為をなかなかやめる事が出来なかった。 「ん……はぁっ。ら、楽になりましたか?」 トロンと赤く上気した棺の顔が目の前にあったのだが僕にはまともに見ることが出来ない。すぐに視線を逸らし床に頭を擦り付け土下座していた。 「大丈夫です。大丈夫だから…顔を上げて下さい。次からは我慢しないでちゃんと言ってくださいね?私は銀の力になれて嬉しいんですから」 なんて良い子だ。そう言われてしまうと毎日血を吸いたくなってしまうじゃないか。それはさて置き何故棺にだけ強烈に惹かれたのか。 「それは…。凄く恥ずかしいんですが私………女の子の日なんです」 安易に心当たりがないか聞いてしまった僕は自分を呪った。
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