休息

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「のう、シロ。前も言ったが妾の事はもう良い。お主に殺されるなら妾も本望じゃ、妾の為に命懸けで戦ってくれたシロ、お前になら殺されても構わん。笑って死んでやるわ」 いきなり何を言い出すんだこの吸血鬼は。 「お主には可愛いらしい妹達もおるじゃろ?それに妾にこそ及ばぬがお主に惚れとる見目麗しい女子もおる」 妹達が可愛いのは自負しているのだが僕に好意を寄せている女の子など心当たりはない。 それにまずスカーレットは根本的に思い違いをしている。僕が何故スカーレットを助けようと思ったのか。 それはスカーレットの口から零れたささやかな願いを叶えてやりたいと思ったからだ。もしもスカーレットがもっと歪んだ存在なら僕は刺し違えてもスカーレットを殺していただろう。しかし、スカーレットは違った。いや正確には違うと僕は思った。 だからーーーー お前を人間に戻す方法が見つかるまでお前は誰にも殺させない。 「………ハン!そうか。やはり呆れた奴じゃの、お主は。大馬鹿者でド阿呆じゃ。それにシスコンでド変態で…」 なんて奴だ。せっかく人が願いを叶える手伝いを命懸けでしてやると言っているのに。 「じゃが…あぁ、もう!………このッ、女たらしめ!」 僕のベッドで腕を組み言いたい事を散々喚き散らし憤慨したと思ったら、スカーレットがいきなり僕に飛び掛かって来た。 勉強机の椅子に座っていた僕は当然バランスを崩し床に盛大に打ちつけられたのだが問題はそこではない。 襲って来た痛みと衝撃に目を瞑り、唇に感じる柔らかい感触に目を開けるとスカーレットにしっかり顔を掴まれ唇を奪われていた。 「……格好良過ぎるではないか。妾を一体どうしたいのじゃ馬鹿シロ」 スカーレットの透き通るような白い肌が微かに紅潮している。長くきめ細やかな金髪が顔に掛かり少しくすぐったいがそれよりも。僕の胸板で形を変える衝撃的なボリュームの胸とスカーレットの香りはこれまでの人生の中で最も破壊力があった。 「ふふ、可愛いのう。なんじゃそんなに顔を赤くして………そんな顔をされたら……我慢出来んぞ?」 思考がショート寸前だ。たが階下から聞こえた架の声で現実に引き戻された。
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