休息

18/19
78人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
「全く。良い所で邪魔しおって」 「えー?なになに?どういう事?」 「もう少しで架と杭が妾の本当の妹になるところじゃった、と言っておこう」 ぽつりと話すスカーレットに僕は思わず味噌汁を吹き出してしまった。せっかく架のおかげであの場を切り抜ける事が出来たのに。 「はあぁっ!?ちょっ、兄ちゃん!!どういう事なんだよ!?」 「まさか襲ったの!?獣になったの!?」 「未遂じゃのう、残念ながら。あともう少しで妾の魅力に逆らえなくなっていたのう。間違い無く」 杭に肩を掴まれ凄まじい力で前後に揺すられ、反論の言葉も発せず。 「あの蕩けた目は本気じゃった。あとほんの少しでヤられていたのう」 「きゃーっ!呼ばないで杭姉とこっそり覗きに行けば良かったー!」 「行かねーよ!?見損なったぜ兄ちゃん!!!女なら誰でもいいってのか!これだから男ってのは!」 濡れ衣だ!と肩を揺さぶる杭に言ってみたものの時すでに遅し。ボロ雑巾の様になるまで殴られて僕は思った。 やはりあんな事言うんじゃなかった、と。 「ちょ、杭姉。死んじゃう!お兄ちゃん死んじゃうから!」 「半分吸血鬼なんだから大丈夫じゃないか?」 「あー。確かに」 そこはちゃんと止めようか架。 「おやすみ。と言うべきかのぅ?まぁゆっくり眠るが良い」 明日から家を離れるというのにまさかリビングの冷たいフローリングで眠る事(気絶)になるとは夢にも思わなかった。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!