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「全く。良い所で邪魔しおって」
「えー?なになに?どういう事?」
「もう少しで架と杭が妾の本当の妹になるところじゃった、と言っておこう」
ぽつりと話すスカーレットに僕は思わず味噌汁を吹き出してしまった。せっかく架のおかげであの場を切り抜ける事が出来たのに。
「はあぁっ!?ちょっ、兄ちゃん!!どういう事なんだよ!?」
「まさか襲ったの!?獣になったの!?」
「未遂じゃのう、残念ながら。あともう少しで妾の魅力に逆らえなくなっていたのう。間違い無く」
杭に肩を掴まれ凄まじい力で前後に揺すられ、反論の言葉も発せず。
「あの蕩けた目は本気じゃった。あとほんの少しでヤられていたのう」
「きゃーっ!呼ばないで杭姉とこっそり覗きに行けば良かったー!」
「行かねーよ!?見損なったぜ兄ちゃん!!!女なら誰でもいいってのか!これだから男ってのは!」
濡れ衣だ!と肩を揺さぶる杭に言ってみたものの時すでに遅し。ボロ雑巾の様になるまで殴られて僕は思った。
やはりあんな事言うんじゃなかった、と。
「ちょ、杭姉。死んじゃう!お兄ちゃん死んじゃうから!」
「半分吸血鬼なんだから大丈夫じゃないか?」
「あー。確かに」
そこはちゃんと止めようか架。
「おやすみ。と言うべきかのぅ?まぁゆっくり眠るが良い」
明日から家を離れるというのにまさかリビングの冷たいフローリングで眠る事(気絶)になるとは夢にも思わなかった。
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