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翌朝僕は平日にも関わらず堂々と学校を休み、犯罪者を探しに行くためにスカーレットと共に駅で朔弥さんの言っていた協力者を待っていた。
「ふぬぅ……妾は眠い。眠いぞ、シロ。それに忌々しい太陽が出ておるというのに無理矢理連れて来おってからに」
深々とUVカットの帽子を被り日焼け止めの匂いのするスカーレットが僕の肩に寄り掛かる。
「お待たせー。じゃ、行こっか」
ーーーー妹よ。学校はどうしたんだ?
「何言ってんのー。せっかくアルバイ…ごほん、お兄ちゃんの為に来てあげたのに」
ちょっと待て、朔弥さんは手練れと言っていた。そして僕の良く知る人間だとも。確かに良く知ってはいるがまさか協力者というのは本当に架?
「あっ。杭姉は朔弥さんの所に預けてきたから心配しないで」
「ほうほう」
最早どちらが妹なのか分からないな。確かに杭は家事スキルゼロなので賢明な判断なのだが。
スカーレットよ、少しは架が現れた事に疑問を抱け。
「シロ。何をしておる?早く向かうぞ」
目的地までは二時間程掛かるらしい。ボックス席に向かい合わせに座りスマートフォンを弄る架と歓談しているとスカーレットが再び僕の肩に頭を乗せて来た。
「……ねえねえ。ところでお兄ちゃんさー、ぶっちゃけ棺さんと付き合ってるの?」
ーーーなんだって?友達だよ友達。
「ふーん。杭姉とかスカーレットとも仲良いし、なに?ラブコメの主人公よろしくハーレムでも作りたい訳?」
何を言い出すんだ妹よ。そもそも肉親と人間もどきが含まれているぞ。
「あのさー、慕ってくれてる女の子みんなに優しくするなとは今は言わないけど、本当に好きな人が出来たらそういうのは止めた方がいいよ?みんな傷付けちゃうから」
なんだか悟ったような口振りで話す架の頭を小突きお返しとばかりに聞き返してやった。そう言うお前はどうなんだよ、好きな人はいるのか。そもそも誰かに語れるほど経験があるのかと。
「そりゃいるよー。それにチューぐらいなら…お、お兄ちゃん?」
「ぎゃん!一体何事じゃ!?」
大変だ。愛しい妹のファーストキスがどこぞの馬の骨に奪われているなんて。
この件が片付いたら杭に情報提供を求め、ダメなら架の携帯の電話帳から何から探し出してどこの誰かを調べ上げ特定し、なんとしても探し出して始末しよう。
ゲシュタポが裸足で逃げ出す拷問をした上で惨殺してやる。
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