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「お兄ちゃん?どうしたの?ずっと怖い顔して」
とりあえず架の件はこの瑣末な仕事を終えるまで忘れよう。
スカーレットに保護者役を演じて貰いホテルのチェックインを済ませた後、途中で寄ったコンビニで買った地図をテーブルに広げた。
「何をしておるのじゃシロは?」
「………ああー。だから地図なんか買ってたんだね」
魔術協会の資料にはこの街の行方不明者の名前と写真が添付されており、最後に目撃された地点の住所も書かれている。
住所を一つ一つマークを付けていくと。
「ふーん。かなり狭いねー、自分の生活圏で犯罪を起こしても捕まらない自信があるって事かな?」
「成る程。意外と賢しいのシロ」
時刻と照らし合わせても犯行はほぼ同時刻に行われている。それにしても行方不明者の数が多過ぎる、なぜ警察はこの事件を調べ上げないんだ。
「証拠不十分だと思うよ。それにその資料は警察の中にいる魔術協会の内通者から提供された物だと思うし。警察の手に負えない事件だって気付いたんじゃない?」
それにしたって被害者は女子中高生ばかり。それも中には集団失踪している被害者達もいる。手口は不明だがこれが本当に佐々木の手による犯罪なら常軌を逸脱した人間だろう。
殺されても文句を言えないような。
「で?其奴を探し出す手段は?」
囮捜査。というのが真っ先に頭に浮かんだ一番手っ取り早い方法だ。が、しかし。
「囮捜査しかないでしょ?」
「ほうほう。妾と架が囮になるのか」
いやいや。スカーレットは不死身だからまだいいとして架はダメだ。
いくら強いと言っても危険が伴う事はさせたくない。
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