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早朝、スヤスヤと静かに眠る妹といつの間にか僕を抱き枕がわりにして寝ていたスカーレットをホテルに残し部屋を出た。
佐々木の勤務先は福田商事という株式会社。スマホで検索すると会社までの道筋がすんなりと表示される。
二人には悪いと思ったがスカーレットと架には僕の勝手で迷惑を掛けたくなかったのだ。
コンビニでコーヒーを買いしばらく待っていると出勤する会社員の姿がちらほら。その中に佐々木の姿を見つけた。
あまりコンビニに居座るのも迷惑だと考えた僕は夕方まで街を散策し時間を潰す事に。
最近よくお世話になっているレストランで昼食を食べている最中に架から電話が掛かってきた。
『お兄ちゃんのバカッ!!!今どこ?無事なんだよね?』
スピーカーから思わず耳を離してしまう程の大声ながらも僕の身を案じてくれていた架に謝る。
『まったくもー。もしお兄ちゃんに何かあったら私まで芋づる式に杭姉に殺されちゃうんだから軽率に動かない事。いいね?』
杭に?なんだがよく分からないが現在地を伝えるとすぐに通話を切られた。通話が終了して10分と立たずに現れた架に驚く。
「なんだ、そうなの?じゃあ急いで来なくても良かったね」
息を整えながら席に着いた架がドリンクバーを頼む。寝ているスカーレットは置いてきたとの事。
「でもさ、昨日みたいに真っ直ぐ帰らない場合も考えられるんじゃない?その場合はどうするの?」
その場合は気長に待って後をつけるしかないな。
「そうですか。はぁー…そうなんですか」
だからそんなに嫌ならついて来なくともいいのに。
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