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「あの・・・」
どこからか人の声が聞こえる。寝ぼけているのかボーっとしていた。
僕はゆっくりと起き上って声の主を見た。
メイド服にほわほわの茶色い髪をした女の子。
『あー。一か月たったのか・・・』
僕は彼女にこう言った。
「何・・・?」
正直自分でも寝起きは悪いと思う。一回メイドに喧嘩を振りかけてしまったことがある。そのメイドは確か泣いてどっかに行ってしまった気がする。
「あのー・・・。大丈夫ですか?」
「何が?」
「そのー、髪の色とか目の色とか変わっているし・・・」
「は?」
彼女は何言ってんだろう。俺の髪?目の色?変わっている?何が?
「はい、鏡で見てください。」
彼女は鏡を差し出してきた。この瞬間、この人は僕を怖くないのかなって思いつつ鏡を受け取った。
鏡に映っていたのは真っ黒な髪・赤い目になっていた。
「・・・!これ・・・!!」
自分が怖くなった。そして、ハッとした。
昨日の出来事でなったのだと。。
「あのー。これ、とりあえず一か月分の食料と衣類です。」
そう言えば、彼女はここにそれを届けに来たのだと今気づいた。
「それと、このことは旦那様には言いませんから。」
へ?と僕は言ってしまった。なんで、こんな忌の子に優しくするんだろう。
僕はペタンと座り込んでしまった。
「ねぇ、なんでそんなに優しくするの?」
「え?」
「こんな忌の子を優しくしてどうするの?何の見返りを求めているの?」
こんなに優しくされたことはないから僕は泣き出してしまった。でも、彼女はこう言った。
「私は、ただあなたと話してみたかった。」
「え?」
彼女は優しい顔で僕と同じ目線になって言った。
「だって、君『悪魔』になっちゃったんでしょう?」
そう言って、彼女はにっこりと笑った。
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