こうなることは予期していた。

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「ほっしー今年は狙ってるのか?」 中学のときの同級生で同じ部活動に入っている鈴木が話しかけてきた。 「今年は心技体ともに絶好調だ。今年は優勝するよ。」 俺は自信満々に言いきった。実際この頃の俺は無敵だった。負ける気がまったくしない。 「ほっしーみたいに才能あれば俺も優勝出来るのかな。」 鈴木は俺の才能を羨ましく思っているらしい。 「才能だけじゃ勝てないよ!努力も大切なんだ。それとさ、鈴木みたいなライバルに負けたくないと思う気持ちも大切なんだぜ。」 少し笑いながら冗談みたいに言ったが本心はホントに感謝していた。 そして中2のときに優勝した。 あれは偶然の優勝ではない。必然だった。 俺は無意識のうちに能力を使っていた。だから今までみんなを騙していたらしい。わざとではなかったが、俺は自分を許せなかった。 「今日で部活動やめるわ。」 俺の一番の親友にやめることを伝えた。 「どうしてだよ?お前あんなに走るの好きだったじゃん。」 鈴木の声が小さくなる。 「俺、一番になってわかったんだ。短距離なんてくだらないスポーツだってね。」 俺はそんなことを思ったことは一度もない。鈴木に嘘をついた。自分に嘘をついた。鈴木が泣いているのに俺は気付いたが気付かないふりをした。 「じゃあな。」 俺は鈴木に別れを告げ、陸上をやめた。
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