こうなることは予期していた。

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俺の力ならやれる!なぜかわからないが自信が溢れてくる。 「今日もダメかー」 鈴木は笑っている。手紙を書いたことで心の整理ができたからだろう。 「そろそろ行くかな。」 鈴木は歩きだした。今日死ぬなんて想像もつかない。いつもと同じ道を歩いていく。 信号が青になり歩き出す。そこで信号を無視したトラックが突っ込んできた。 これだと思った俺は全力で能力を使う。トラックの軌道が変わる。これならぶつかることはない。俺はほっとしている。こんなに簡単に運命を変えられるなんて、これでまた一緒に部活動ができる。あの手紙が俺を完全に変え、俺の魂に鈴木の気持ちが刻まれた。 そう思っていると鈴木はトラックの方に走り出した。どうしてだよ。このままじゃトラックにぶつかるよ!ダメだ。行くな! もちろん俺の言葉は届かない。どうしてだと思っているとトラックの方向に子供達が遊んでいる。それを助けようとしているんだ。彼は走るのをやめない。ダメだ。やめろー~!!! どーーん。彼を轢いたあともトラックは止まらない。ガードレールに何度もぶつかってやっと止まった。彼の方に俺は全力で近づいて、聞こえないのは承知で俺は話しかけた。 「死なないでくれ。頼む。俺陸上続けるし、昔の自分に戻るから。頼む。死なないでくれ。」 俺は懇願した。 「それは無理だなー。自分でわかるんだ。」 鈴木が返事をしてきた。 「鈴木聞こえるのか?」 俺は質問した。 「ほっしーなんだろ?わかるよ。死ぬ前にお前と話せて良かったぜ」 笑っている。死ぬのがわかってるのだろうか?ダメだよ。 「俺後悔しないって決めたのにまた後悔してる。頼むからまた俺と一緒に練習してくれ。」 俺はぐしゃぐしゃになった顔で話している。そんな顔を見ている鈴木は 「お前さーもっとはやく素直になってろよ。もう無理じゃん。俺だって一緒に走りたいよ。・・・陸上やってて良かったぜ。」 声がどんどん弱くなっていく。 「急にどうしたんだよ。」 死ぬ前の話みたいじゃないか。俺は言葉を詰まらせた。 「ほっしーに会えたし、あの子供たちを救うことができた。今し、あ、わ、せだ!」 それを言ったあと、手紙の話が出てきた。 「俺が死んでも続けろよ」 俺はやるよ。約束だ!俺は心のなかで叫んだ。もう彼には届かなくなっているからだ。体がみるみるうちに冷たくなっていく。
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