こうなることは予期していた。

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鈴木は亡くなった。 俺の能力で彼を救うことができると思っていただけに本当に悔しい。もし能力を使わなかったら彼は勝手に助かったのではないだろうか?そんな気にさえなる。俺は無力だ。 鈴木がいなくなった日から俺は毎日学校に通っている。全てが無気力になった俺は何をすればよいのかわからない。 いつの間にか卒業式に参加していた。 「卒業か。鈴木見てるか?俺はこれからどうすればいいんだ。」 俺は鈴木に囁いた。返事を待っている。頭の中がぐるぐるして幻聴が聞こえてきた。これは聞いたことのある声だ。これは間違いなく鈴木の声だった。俺は式の途中だったが、声の聞こえる方に走り出した。そこは屋上だった。 「どうしてここにいるんだ?式の途中だろ」 こちらを見てニコニコ笑っている。 「お前、生きてたのか?どうしてここに、、、。」 俺は今、震えている。 「少しだけ未練があったんだ。」 彼には未練があるらしい。あるに決まっていると俺は思った。 「未練が3つだ!!先ずは、親よりはやく死んじまったこと。次に陸上で結果残せなかったこと。最後に・・・。」 淡々と話している。最後に何を言うのだろう。俺の胸の鼓動が早くなっていく。 「ほっしーと一緒に卒業できなかったこと。」 最後まで言った所で沈黙した。何を考えているかはわからないが、俺は咄嗟に話しだした。 「いつか自分の気持ちが整理できたら陸上続けるよ。あと俺の辞めたいきさつを聞いてくれ。」 俺は鈴木には本当のことを伝えたかった。 「知ってるんだ。お前がやめた理由。俺は死んですべてを理解した。わかってやれなくてすまない。でも、おあいこってことでいいよな。」 彼は笑っている。 「そうだな。おあいこだな。」 俺も笑った。最後が近い。感覚でわかる。 「手紙感動したろ?俺あれ必死に書いたのに捨てやがってバカ野郎!でも結果的に読んだから許す。またな!」 鈴木の最後だ。さよならと言わない所があいつらしい。 「またな!」 俺も元気よく別れを告げ、手紙の内容を思い出す。陸上続けることになったら鈴木の手紙通りになるんだろうな。あいつは俺のことを何でも知ってるのかな。鈴木がどんどん薄くなっていき、とうとう彼は見えなくなった。
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