secondstory プロローグ

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[secondstory]vol.10 そしてギターの彼と会ってみた すごい謙虚で丁寧 それに加えて音楽に対しての愛がすごかった 音、機材に対する知識、技術は度肝を抜かれるくらいだった こんなメンバーがいたら 全部メンバーで出来ることを夢見てる 曲作り、歌詞はもちろんのこと本格的な音源作りなども けどこのバンドは技術うんぬんではなく「人」をみていきたいと決めてたから自分の気持ちを素直に全部話した そして彼も全ての気持ちを話してくれた 過去にバンドを組んで本気でやっていたが解散してしまった 悔しくてたまらなかった その事が怖くて今はバンドを組まずサポートとして、そして主に作曲家として働いてると だからすぐには答えは出せないので考えさせて欲しいと 少し前までの自分と照らし合わさってしまった あれ以上のメンバーはいないとか、それ以外のバンドをやるつもりないとか へんな意地があった でも現実は厳しかった 全然甘くなかった その上、仲間は独り立ちしてるのに対して自分はその場でもがいてるだけ 夢はあるのにその夢さえ悪い事をしてるように思えたあの時の事を そのあと何度も彼から電話がかかってきた 何時間話したか覚えてない 彼の気持ちを慰めるように 彼はまだ25歳 おれらはまだ人生の半分も生きちゃいないんだよ その一つの挫折で全てを投げ出しちゃダメだよ そんな言葉を彼に言った でもそれは正直自分に言いきかせてた 彼と話す時は自分が言って欲しい言葉を話してた気がする でもその時「あっ」と彼の声が変わった 何かを全部吐き出したかのような声だった なんか吹っ切れました 今の仕事、全てを辞めてまで全力でやりたい とそう答えてくれた 全部辞めなくていいけど全力でやって。笑 と笑いを交えながら話し、彼との電話を切った 電話を切った後おれは彼の前では強い自分でいなきゃ、そう思った 同じ境遇、同じ気持ちを味わった人同士 おれは彼の人間性がすごく好き 今までの話しでは全く出てこなかったが本当は少しおちゃらけてメンバーを和ませてくれるいわゆるいじられキャラ しかし音、バンドの事になると本当に真面目でONとOFFがしっかりしてる 彼がいてくれるからスタジオは和むしおれも楽しい 出会いは一瞬だったが一生大事にしたい仲間になった そしてこれでピースは揃った このメンバーを中心にこれから新しい物語が始まる
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