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場所とりは新人の務め
「すみません。
遅くなりました。」
「おい、花田。遅いぞ。
ほら、それ持って。」
「あ、はい。」
隆盛駅公園口改札前に着いた途端、田中先輩が用意した荷物をオレは背負うことになった。
「お、さすがだね、力持ちだね。
“お兄ちゃん”のアダ名は伊達じゃないね。」
“お兄ちゃん”
そう、あの元横綱の愛称。
名前がマサルということと(もっとも漢字は"将"だから違うのだが)身体がデカイものだから同期入社の中では、そう呼ばれるようになるまでそう時間はかからなかった。
「おにぃ、あ、花田さん。おはようございます。」
「あ、宮下さん。
おはよう。」
彼女は同期入社の新人の宮下咲良さん。
彼女も荷物を持たされているがタイヤ付きのキャリーバッグだ。
「ほら、お兄ちゃん、サクラちゃん、行くぞ。」
先輩は大きめのコンビニ袋1つだけ。
しかし、この駅まで俺が今背負ってる荷物とキャリーバッグを持って来た事を考えれば文句は言えない。
西郷公園に入り目ぼしい場所を探す。
今日は4月から通い始めた会社のお花見がある。
今日は金曜日なので当然宴会は仕事を終えてから。
要するに場所とり役に指名されてしまったのだ。
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