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ま、まじで…
まいった、なんか喋らなきゃ。
「田中先輩、行っちゃいましたね。」
「そうですね。」
「………」
「………」
「ええっと、場所さえ確保して留守番してればいいみたいで、指示は特にありませんけど、どうしましょうか。」
「そうですね。どうしましょうか。」
あ、あああ、気まずい。
彼女、宮下さんとは新人研修では何度か話した程度。
それもまだ3日間だけだ。
まだお互いそれほど良く知った間柄ではない。
いきなりそんな2人だけで約8時間、まだブルーシート(それも4枚分)を拡げただけの空間を確保しておかなくてはならないなんて、さすがに時間をもてあましてしまうのは目に見えている。
まあ、これを機会に仲良くなるのも悪くないけど。
でもなんか個人的な事を聞き出すのもなんか軽い奴と思われそうだし、そういうことが得意な方だったらいいけど、俺は今まで男子校から、理系の機械工学専攻で女子の免疫力はあまり強いほうじゃないし、こういう役まわりはなんか苦手である。
しかも、困ったことに彼女はそれなりには可愛い。
というか、まじまじと見たこと無かったけど良く見ると小さくて目がくりくりしてて、仕草もチョコマカとして、小動物のようで、そのくせさっきなんかキャスターバッグが溝に引っ掛かって転けそうになってたし、ペットボトルに水を入れる時蛇口捻ったら水かぶってたし、けっこう天然なドジッ娘な面も…
あれ、イカンイカン
けっこう好みのタイプじゃないか?
ここは無難なところで趣味嗜好を聞いてみるか。
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