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少し距離を開けて先生のあとをついていくうちに階段に差しかかる。
彼は行先を告げることなく下り始める。
「あの、どこに行くんですか?」
気になって尋ねる。彼は踊り場で足を止めて振り返った。
軽く口端を上げるだけで答えることなくまた階段を下り始める。
無言の返事に否応にも期待が高まっていく。
どこに行くんだろう。
化学準備室かと思っていたけど違うみたいだし……もしかして食堂?
でもいいのかな、他に生徒がいるかもしれないのに。
胸を踊らせながら後ろを歩いていたら急に止まった背中にぶつかった。
「す、すみません」
「着いたよ」
引き戸を開け、中へ入るように目配せする。
ほら、と背中を軽く押されて――全身から血の気がひいた。慌てて振り返る。
扉が閉まろうとする間際「頑張れ」と微かに笑いの含んだ声が届いた。
愕然と立ち竦む私の背中へ地鳴りのような低い声が投げかけられる。
「西島だな。そこへ座れ」
待ち詫びていたとばかりに腕を組んだのは生活指導主任の菅田先生だった。
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