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深々と頭を下げてから生活指導室を退室した途端、全身の力が抜けてその場にへたり込んだ。 抱えた膝に顔を埋める。 恐怖から解放された安堵からか弱々しいため息がこぼれた。 殺風景な生活指導室のテーブルにつくなり菅田先生の説教は始まった。 美香ちゃんの指摘通り、リボンを忘れたのは十回目であった。 占いなんてもう信じない。自分の落ち度を棚に上げてそんなことを考えていたら、ふ、と短い笑い声が聞こえた。 人の気配を感じて視線を向ける。 腕組みをした先生が少し先の壁にもたれかかっていた。斜めになった口元が私を短く労う。 「お疲れ」 私は無言で背を向けて歩き出した。 「――あ、おい、西島」 足音が追いかけてくる。 「何拗ねてんの」 「……」 「十回も忘れたのは自分だろ」 あからさまにこの状況を面白がっているとわかる笑い混じりの声を振り切るように足を速める。 「西島」 「……」 「待ってって」 無言を決め込んでやがて階段が見えてきたとき、いきなり腕を掴まれた。 「西――」 正面に回り込み、私の顔を覗き込んだ先生がはっとしたように息を呑む。 俯いて目元を拭う。 「ひどいです……」 震える声を必死に絞り出す。 「意地悪です。あんな……あんなメール……私は」 「こっち来て」 腕を引かれ、手近の空き部屋に連れ込まれる。 私の手を握ったまま奥まで進んだ先生はイスに座るように手で促す。 それを無視して立ったまま私は口を開いた。 「そうです、菅田先生に怒られたのはリボンを十回も忘れた私のせいです。だからそのことに文句を言うつもりありません」 でも、と震えたままの唇を噛む。
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