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女子生徒も同様だったのか口ごもりかけたが、 「私は関係者だもん。早く出ていって。近藤先生もそう言ってるでしょう」 「自分も教室に戻れって言われてなかったっけ」 「私は関係者なんだから参加する権利あるの!」 必死に葵くんを追い返そうとする彼女を見て、私は首を傾げた。 先ほどの写真には葵くんの携帯に入っていたものが含まれている。 彼が小野田さんへ提供したのは間違いなく、それは連帯を示すはずなのに、どうして衝突しているのか理解できなかった。 「島崎先生、早く一色くんを外に連れ出してください!」 「ヒステリックに叫ぶのやめてくれない。そんな大声出さなくても十分聞こえる」 神経を逆撫でする口振りに彼女がさらに顔を赤くさせた直後、まあいいや、と放り投げるように言って彼は近藤先生たちへ視線を流した。 「僕からも話があるんです。氷泉先生と雪乃先輩のことで」 「あなたも何か知っているの?」 「はい。――小野田さんよりずっと」 「私よりって、」 「僕も」 女子生徒の声を遮るためというよりは全員の気を引きつけるように葵くんは切り出した。 「その日、辻堂のショッピングモールにいました。そして二人が一緒に行動するのを見ました」 え、と女子生徒の表情が変わった。数秒して思い至ったように目を見開く。 彼に視線を定めたまま安藤先生がイスに腰を戻した。 「あなたも見たの? 二人が話しているところを……」 「はい。二人で商品を選んでましたよ」 全員の視線が私と氷泉先生に注がれる。目を合わせるのが怖くて私は顔を伏せていた。 「一色くん、この状況でそれを話すってことはあなたの目にも二人は……その、それらしい間柄に映ったってこと?」 「それらしい間柄?」 「つき合っているように見えたかどうかよ」 全員が注目するなか葵くんは静かに微笑んだ。 物事を左右するのが自分であることを知っているその瞳はこの状況を楽しんでいるようで、しかしぞっとするほど冷静でもあった。 今から……手を振りほどかれるんだ。 熱を帯びていた汗が嘘のように冷えて全身に寒気が走る。 ふと葵くんがこちらを向いた。 控えめな笑みをたたえたまま無言で私を見つめる。直線的な眼差しにただでさえ浅い呼吸が途切れがちになっていく。 「一色くん?」 閉じられたままの彼の口元に焦れたような気配がのぼりつめた頃、 「はい。そう見えました」 葵くんが小さく、だけどはっきりと認めた。
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