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「あの背が高くてスレンダーな。おかっぱの」
「氷泉先生、僕には違うって否定してたのに……」
「そう、あの方とおつき合いされているの……ああ、ですから教頭先生からのお見合いのお話も断り続けていたのね。もう、そういうことなら早くおっしゃってくださいよ」
ほほほ、と水くさいとばかりに笑って彼の肩を叩く。
氷泉先生は抜け殻みたいになんの反応を示さない。
話を聞いていた安藤先生が興味津々といった顔で身体を弾ませる。
「へーえ。なんか人が変わったから恋人でもできたのかなーって気はしてたけど本当にいたとはねー。それで島崎先生、その唐沢さんってどんな感じの人なの。あたしより美人?」
「まあ……綺麗な方ですよ。お高くとまってなくてカラッとした人です……」
「……ちょっと何もそんなに落ち込まなくても」
「放っておいてください……」
こちらも覇気をなくした島崎先生が重い足取りで窓へ向かう。
開かれたカーテンの外はいつの間にか雨が上がっていて、低い雲の切れ間から光の帯が放射状に地上へ降り注いでいる。
まるで裏切られたみたいに島崎先生は肩を落としていた。
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