冬のレイリー２

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「ない。それだけは絶対にない。誓うよ。嘘だったら針千本でも何でも飲む」

我ながらなんて稚拙な弁解だろう。これでは先ほどと同じ轍を踏むだけとわかっているのに波が立つのを避けたいという思いが先行して頭が回らない。
当然、彼女の表情が晴れるわけがなかった。

「じゃあ……あの服は……」
「それは……」

嘘はつきたくない。だけど――。
言い淀んでいるうちにスピーカーから下校を促す放送が流れてきた。
重たい沈黙に不釣り合いな軽快なメロディが部屋を満たしていく。
それが途切れた頃、彼女の手が白衣から離れた。

「ごめんなさい……いいんです。話したくないっていうか、内緒にしておきたいこともありますよね」
「……西島」
「私だって先生にすべて話してるわけじゃないし……例えば中学のときの成績とか。だからいいんです。すみません、忘れてください。……じゃあ、私そろそろ」

立ち上がろうとする気配に咄嗟に彼女の手を掴んだ。

「西島……土日、どっちか時間空けられる？」