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「頭どうかしてるんじゃないか?」
僕は放課後の元文芸部室で呟いた。
夏原薫。
彼女はずれている。
僕が死のうとしていたとき、彼女はなぜ、
驚いてから、微笑んだのだろうか?
きっと、ネタにするのかも。教室でみんなに言いふらして、小馬鹿にするんだろう。
……いや、ないか。
彼女はおちゃらけた性格だけど、今までこんなに彼女が誰かの前で人を馬鹿にするのを見たことがない。
いや、見てないだけかもしれない。裏では、こそこそ万引きしたり、誰かの悪口を言い合ったり、自転車を盗んだりするやつなのかも知れない。
棚のガラス戸で反射した光が、ふわふわと浮かぶ埃を露にする。
今日、ここで死のうとしたんだよな。
そう思うと体がぶるりと震えた。
急に怖くなって僕は部室を後にした。
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