かつて子供だった高校生

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「……何」 朝早く僕は夏原さんの席の前にいた。 朝早くを狙ったのはやはり人がいないからで、僕は休み時間に動きたくないので今渡そうと思った。 それでも、クラスメイトは数人かいて、彼らはみんな目を丸くして僕を眺めているのだった。 「落ちていた入部届けと、後、夏原さんがやりたいっていっていたこと教えてもらおうかなと思って」 「死、ぬ、の、は?」 声のトーンを下げて、夏原さんが口を動かす。 「やめた……。なんか怖くなって。すぐにはできそうもないよ」 夏原さんが吹きだした。 「よし、じゃあ放課後文芸部室に集合な」 僕の肩をぽんと叩いて、夏原さんは教室を出て行った。 慌てて追いかける。 「待って、今。今教えてよ」 「え? 人に聞かれていいのなら教えるけど?」 彼女が教室の方をくいっと顎でさす。 野次馬が僕らを不思議そうに眺めている。 「烏合の衆でござんすな」 彼女はそう囁くと女子トイレへと姿を消した。 う、烏合の衆。 僕は、僕はその烏合の衆にも混じれない。
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