光らないビー玉

6/8
前へ
/40ページ
次へ
「友達もいないんじゃ、家でも居場所ないんじゃない? 君の話すとこ、あまり見ないし。そんなだったら、学校来なきゃいいのに」 口が勝手に動く。おしゃべりな口だ。いつもより、早く動く。 「どうして、そんな人を悪くいえるんだ!」 「どうしてかな? わかんない!」 あたしは本棚から一冊抜き出して、ぱらぱらと流し読みをして、つまらないので戻した。 「演劇部は丁度真下。早く行けよ。そして今日見たことは忘れてくれ」 「お、ありがと。じゃあね、今度は死ねるようにね!」 あたしは目的をすっかり忘れてしまっていた。 階段を駆け下りて三階へと向かう。 演劇部の札がある教室は閉まっていた。 「開いてないじゃん」 演劇部は今日は違う場所で練習しているのか……。 四階へ戻る。 文芸部室に入ると本に囲まれた彼は膝を抱えて泣いていた。 途端にいたたまれない気持ちになった。なぜだか、知らないがあたしは不安定だ。 気持ちの波が荒い。 ほんと、どうしようもないやつなのだ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加