光らないビー玉

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「泣いてるの? 慰めてあげようか?」 「帰れよ」 「いい? この世の中にはゴミと屑しかいません。地球はゴミ箱なのです。人類はゴミ屑なのです。香川恭平もゴミ屑なのです。あなたが死んでもゴミなので周りのゴミにしか悲しんでもらえません。生きていてもゴミはゴミを生むだけなので死滅することが一番ゴミ箱に優しいの」 「おまえもゴミだ」 「少なくともお前よりはマシだけどね」 あたしは床に積み上げられた本に腰掛けて、この世の中を呪った。 「畜生。僕は、どうすればいいんだ」 頭をかきむしる香川恭平は一層間抜けだ。 「お、カミングアウト? 来い。来いよ!」 煽る。あたしは煽る。 「親はさぁ、僕なんかより弟が姉が大好きだ。出来がいいから、いい学校に入学したから。おまけにスポーツまでできやがる。弟なんて二歳下なだけなのに俺を見下して、そればかりか、俺と同じレベルの勉強をしてやがる。学校では俺はトップクラスの成績だが、それは志望校に落ちたからだ。 つまらない。親にはあまり干渉されなくなった。興味が失せたんだろうな。見限ったのかもしれない。 クラスのやつらを見下して生きてきたが、そんな俺の見下した視線なんてみんな感じてすらいない。馬鹿みたいに群れてへらへらして浮かれて、死んでしまえなんて何度思ったことだろう」 「来ました! いいよいいよ! ぞくぞくする! 人間の浅ましさがひしひしと伝わる! もっと! もっと!」 「お前、怖いよ?」 変な目で見られるのも無理はない。あたしは自分を出さずに生きてきたからだ。香川恭平もあたしを変な目で見る。あたしは本当はこうなのに。そして、君もこんなだったんだね。 「お前じゃない。夏原薫だ。クラスメイトなんだからさ。覚えてなよー。なんであたし、香川恭平の名を知ってたかなぁ。覚えなくて良かったのに、どうせ死ぬんだし」
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