君恋1-2

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 憂鬱な梅雨が明けて、時期は七月の半ば。  カフェ兼アンティークショップ『Avec-toi(アヴェク・トワ)』は今日も賑わいを見せている。 「店長。こっちは貼り終わりました」 「てんちょー。こっちも終わったっスよ」  こっちへやって来た日野と、商品棚の横から顔を覗かせた小笠原が口々にそう告げてきた。 「了解。二人共アクセコーナーの方に回ってくれ」 「分かりました」 「はいはーい」  きびきび動く二人を見届けつつ、俺はレジ内で在庫の整理をしている。  もう一人のスタッフ、片山さんにはカフェの方に入ってもらっていた。  彼とはアレ以来プライベートな話はしていない。  いや、普段もあまりする方ではないけれど、それ以上に酷くなっている気がする。 (……っていっても、あの人は全然普通に見えるんだけどな)  自分だけが意識しまくっていることが少しばかり悔しい。
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