君恋1-1

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 それでも笑顔を絶やさずにいる自分を褒めてやりたい。 「そうですか。いつもご来店ありがとうございます」  定番文句しか出て来ない自分を叱咤してやりたい。  己を持ち上げたり落としたりしている間も、彼女たちの会話は続く。 「英さんって言うんですね! なんだかそれっぽーい!」  それっぽいとはどういう意味だろうか。  胸につけているネームプレートを見つめながらはしゃぐ彼女達に心中で溜息を零した。  女の会話を理解する日がいつか来るのだろうか……。  いや、それ以前に出来る気がしない。 「あの、彼女は?」 「……はい?」 「恋人とかいらっしゃいます?」 (とかってなんだ?)  恋人って言っている以上濁す必要があるのだろうか。
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