君恋1-1

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 混雑を避けるためというのは表向きで、真意は別にあるのだが。 (特にアイツに当てはまることなんだが、そこんとこ分かってんのか?)  さっきとは違う理由で眉間に皺を寄せた。  とりあえず今は次の仕事だ。 「木村さんすみません。次の時間まで事務作業に入るんで、上に居ますね」 「分かりました。なんなら少し仮眠も取って来て下さいよ」  寝不足を気にしてくれているのか、仕込み中の手を止めて苦笑混じりに言われてしまった。 「寝不足は帰ってから解消しますから」  俺も苦笑いを滲ませて答える。  もちろん今は寝不足ではないが、そう思っていてもらった方がこっちとしては助かる。  俺は布巾を片付けてから厨房を出ると、スタッフルームの隣にある事務室へ向かった。
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